第1回(2018年5月公開)
IoTが試験・計測業界に生み出す新たな市場機会
2022年までに試験・計測業界のIoT市場は1億5千万米ドル規模に到達見込み
あらゆるモノをつなげるIoT(Internet of Things)は、試験・計測器のスマート化や試験結果の質改善を可能にし、試験・計測業界に新たな市場機会を生み出すことが見込まれます。インダストリアルIoT(製造業向けIoT)を用いることで、試験・計測器の活用機会も拡大することが期待されます。フロスト&サリバンの分析によると、試験・計測業界におけるインダストリアルIoTのグローバルの市場規模は2016年から2022年にかけて年平均成長率(CAGR)6.7%で成長し、同市場規模は2016年の7,100万米ドルから2022年に1億4,800万米ドルに到達する予測です*。
* 今回のリサーチにおける試験・計測業界のインダストリアルIoT市場規模には、ハードウェア及びソフトウェアのみが含まれます。
「試験・計測業界でのインダストリアルIoTの活用においては、現状ではセキュリティ面に関する懸念や、市場参加者が限られていることから、試験・計測器メーカーはインダストリアルIoTの活用や市場参入について慎重な段階です」と、フロスト&サリバンの計測部門リサーチアナリスト、アニーシャ・ダンブルは述べます。「その一方で、2020年までには数多くのインダストリアルIoT機能を搭載した試験システムの販売が見込まれ、試験・計測業界での多様なサービスや領域への対応が期待されます。」
2025年までには、過去の事例を学習した次世代の試験・計測システムが誕生し、先進的な試験システムを生み出すことが可能になる見通しです。インダストリアルIoTを活用することで、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)モデルのコスト引き下げが可能となり、2025年までに試験・計測器メーカーのうち80%以上がインダストリアルIoTを自社製品に搭載することが見込まれます。この様なモジュール型試験を搭載した次世代の試験機能を既存の計測器に搭載することで、さらなる成長機会を生み出すことが期待されます。
試験・計測器におけるインダストリアルIoTの活用において、試験・計測器メーカーは以下の戦略を取ることが推奨されます。
■インダストリアルIoTがもたらす革新的な変化を活用し、ビッグデータや予測アナリティクス、自動化を用いたより優れた試験ソリューションの提供
■インダストリアルIoTを活用した試験機能を搭載し、システムの変更要件に対応
■試験コスト削減に向けた、より迅速かつ正確なモジュール型試験と遠隔監視システムの採用
■正確性の向上とコスト削減を目的としたデータアナリティクスの活用
「近い将来に、試験・計測器ではゼロディフェクト(不良ゼロ)に焦点を置いた製品開発がなされることが見込まれるため、スマート試験システムのニーズは高まるでしょう。これにより、無駄な作業時間や再試験の実施はなくなり、収益の損失も未然に防げるでしょう。また、ゼロディフェクトの実現に向けた試験・計測器の研究開発にもさらに注力されることになるでしょう。試験器のスマート化とインダストリアルIoT技術の進化を注視することは、ゼロディフェクトの実現において最も重要となります」と、アニーシャ・ダンブルは話します。
本リリースはフロスト&サリバン発行の下記リサーチに基づいています:
「Adoption of Industrial IoT in the Global Test and Measurement Market, Forecast to 2022」(2017年9月発行)」
http://www.frost.com/k1d0
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第3回(2018年9月公開)
自動運転、EVの進化で自動車試験ソリューションは2024年に28億米ドル規模に成長見込み
自動運転車や電気自動車(EV)などの次世代モビリティの進化や、排ガス規制の強化に伴い、自動車試験ソリューション市場は世界的に成長が見込まれています。フロスト&サリバンの予測では、自動車試験ソリューションの世界市場は2024年までに281億米ドル規模に成長する見通しです。試験機器メーカーと自動運転車の開発やテストを行うテクノロジー企業間でのパートナーシップ提携により、次世代の試験機器の開発促進が今後期待されます。
現状の自動車システムは、エレクトロニクスとソフトウェアの双方における包括的な試験の実施が必要となる複雑なシステムとなっています。ITやセーフティシステム、通信ネットワークベンダーといった異業種の自動車テレマティクスシステム市場への新規参入によって、試験システムメーカーには新たなビジネス機会が到来しています。
「テレマティクス市場の競争は激しく、テレマティクサービスのベンダーは、音声認識機能やジェスチャーコントロール機能、テレマティクス制御ユニット、先進ヘッドアップディスプレイといった革新的なソリューションの開発に注力しています」と、フロスト&サリバンの計測・測定部門ディレクターのジェシー・カヴァゾスは話します。「近い将来、先進運転支援システム(ADAS)技術は完全自動運転車の開発に統合されることが予想されるため、テレマティクス市場における試験機器のニーズはさらに拡大するでしょう。」
フロスト&サリバンは、自動車試験ソリューション市場の見通しを次の様に予測します:
●ダイナモメーターや自動車の排ガス検査市場は、今後5~7年間で著しい成長が見込まれます。
●エレクトロニクスが単一車両に占める割合は、2017年時点の40%から2024年までには55%にまで増加する見込みです。
●自動車メーカーは試験の実施および、規制当局向けの試験データを発行できる標準化されたテクニカルサービスの採用を開始しています。この様な動きに伴い、試験機器メーカーやサービスベンダーには新たなビジネス機会が到来しています。
●自動車試験ソリューションのグローバル市場*は、2017年から2024年にかけて年平均成長率(CAGR)6.8%で成長が見込まれており、同市場規模は2017年の17億7,000万米ドルから2024年までに28億1,000万米ドル規模に成長する予測です。*本市場規模には、商用車及び乗用車向けのメカトロニクス試験システム(ダイナモメーター、車両排ガステスター、車両アライメントテスター)およびエレクトロニクス試験システム(エンジン制御ユニット[ECU]試験システム、テレマティクス、コネクティビティ試験システム)が含まれます。
●コネクテッドカーや自動運転車の急速な進化は、電子検査機器のニーズ拡大を促進しています。
●日本、韓国、シンガポールといった主要市場で政府間での積極的な連携がなされれば、これらの地域での自動車試験ソリューション市場での新たな成長機会が生まれるでしょう。
「この様な成長機会が見込まれる一方で、コスト意識の高い自動車メーカーの保守的な志向や、メカトロニクスと電子検査システムの統合における複雑性が、新たな検査機器の導入を抑制しています。さらに、絶え間なく変化する消費者ニーズは検査機器製品の開発にも大きく影響するでしょう」と、ジェシー・カヴァゾスは話します。
当コンテンツはフロスト&サリバン発行の下記リサーチに基づいています:
「Global Integrated Automotive Test Solutions, Forecast to 2024」(2018年1月発行)
http://www.frost.com/k243
第3回「自動車試験ソリューション: 2024年までの展望 自動運転車やEVの進化に伴い、自動車試験ソリューション市場は成長へ」資料(PDF)ダウンロードはこちら